発行元 吉田裕子 .
エディションノート
本書は、自宅や賃貸物件などの不動産をお持ちの親御さんが認知症になった場合、どんな事で困るのかを予め知ってもらい、元気なうちに家族信託(民事信託)を組んでおくことによって対策ができる事をお知らせするために執筆致しました。
財産の認知症対策を考える親御さんやご家族を対象とした書籍です。
認知症になって判断能力がなくなり、ご本人では財産管理ができなくなると、通常は成年後見人をつけて、成年後見人が財産管理を行います。ところが、成年後見制度では色々な制約があり、次の様な声が聞こえてきます。
「空き家となった自宅が売れない。維持管理が大変。」
「相続税対策ができない。」
「親族が後見人になれなかった。申し立てたことを後悔。」
「専門職後見人の報酬で財産が目減りしていく。」
成年後見制度は、ご本人のためにご本人の財産を守る制度ですので、資産を活用したり、将来の相続人のために相続税対策をしたりすることはできないのです。
しかし、予め家族信託を親御さんとご家族との間で組んでおけば、ご家族が親御さんの財産を管理・処分できるようになります。その結果、親御さんが認知症になっても、住まなくなった自宅を必要に応じて売却したり、不動産の組替えや建設により相続税対策を継続したり、賃貸物件の運用を柔軟に行ったりすることが可能となります。
認知症対策は事前に準備しておかないと選択肢が限られてしまいます。一人でも多くの方に、家族信託が財産管理における認知症対策の一つの選択肢になり得ることを知って頂けると幸いです。
目次
第1章 認知症になると財産管理は?
・平均寿命と健康寿命
・認知症患者の割合
・判断能力がなくなるとどうなる?
・成年後見制度とは
・成年後見のデメリット
第2章 家族信託の仕組み
・家族信託とは
・信託銀行でなくても受託者になれる?
・信託銀行は関係ない
・家族信託 基本スキーム図
・家族信託のメリット
・信託すると登記簿はどうなる?
・お金の管理方法
第3章 家族信託の活用事例
・自宅の信託
・コラム 家族信託には身上監護の機能がない
・賃貸物件の信託
・コラム ローンについて
・資産活用のための信託
・コラム 信託と税金
・承継者を指定する信託
・共有名義対策の信託
第4章 家族信託を組むには
・家族信託は誰に頼む?
・家族信託 組成の流れ
・判断能力がないと家族信託は組めない